心理学用語集とは

心理学用語集は心理学、臨床心理などを勉強する皆さんのお役に立つサイトです。

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一般心理学:統計

ラテン方格法 ラテン方格法とは、実験計画法のひとつである。ラテン方格を用いて分散分析を 行い、各要因の効果を見るもの。ラテン方格とは、m人の被験者にm種類の 実験をするときにm列m行に配列し、どの列・行にも同じ実験が一回ずつ含まれる ように配置したもので、すべての被験者に同じ実験を違った順序で行うことが できる為、順序の効果を除いて各被験者に平等の実験条件を与えることができる という長所がある。 名義尺度とは、心理学的測定の尺度のひとつである。電話番号の ように他と識別するための数で、性格の類型による分類のように 各要素はカテゴリーに分類されるだけで要素間での加減乗除が できず、度数分布・最頻値・属性相関を見ることができるだけである。 分散分析とは、フィッシャーが農場実験の分野で実験計画法による 実験結果の分析の方法として確立したもので、ANOVAと略される。 現在は、自然科学・行動科学の諸分野に普及。具体的には、ある 集団について量的変数Xの観測が行われたとき、別の変数Yに よってその集団をいくつかの群に分けることができれば、集団全体に ついて変動―群間のXの変動+群内のXの変動が成立し、前者は Yによる効果で、後者は誤差と考えられるというもの。 比率尺度とは、心理学的測定に用いられている尺度のひとつである。 重さや長さのように、同一性・順序性・差の等価性の上に絶対的零点を 持つ、比の可能性を有する尺度。主に物理的尺度であって心理学的 測定ではあまり適用されていない。比率尺度により得られたデータ からは、平均値・標準偏差・相関係数・幾何平均・調和平均を得ること ができるのである。 ノンパラメトリック検定とは、観測値の母集団分布に関する仮定を必要とせずに、 順序尺度・名義尺度によって得られたデータに対して適用できるものである。 少量のデータに適し、計算も簡単で、心理学の研究に適している。 パラメトリック検定とは、2群のデータの平均値に関するt検定の場合 のように、両群のデータが正規分布する母集団を持ち、その分散が 等しいという母集団の分布およびその母数に関する仮定を含む検定 のことである。 パス解析とは、生物学者ライトによって考案されたもので、同一個体から 得られた複数の変数間に何らかの因果モデルが仮定される場合に、 各変数をつなぐ道であるパスの効果を量的に表す統計的分析法である。 具体的には、重回帰分析をいくつか組み合わせたもので、パス係数は、 説明変数を標準化した場合の重回帰分析の偏回帰係数となる。 形式的には、どのようなデータにも適用できるが、変数間の因果関係に ついては、モデルがなければ実質的な規定力は持たない。 二項分布とは、確率pで起こる事象を独立にn回観測したとき、そのうちr回 その事象の起こる確立p(r ;n)の分布のことである。Nの値が大きくなるに つれて正規分布に近づく、最頻地は、平均値又はその近傍に見出される。 確率実験で最も簡素なものは、コインの裏と表のように結果が2通りしかない ベルヌイ試行であり、社会統計の標本調査・工場の品質管理・各種心理実験 結果の解析などに広く用いられる。…

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一般心理学:社会心理学

ローカス・オブ・コントロール ローカス・オブ・コントロールとは、ロッター,J.B.が、60年代に社会的 学習理論の中で提唱した概念で、統制の所在と訳されている。ある 行動と報酬・罰という強化の関係において、ある原因帰属の一般化を 行うことにより、特徴づけられる認知様式あるいは性格特性を指す。 自分の行動をコントロールする所在が、能力や努力など個人の内部 にあるとするものを内的統制、運・課題の困難さ・強力な他者の行為 など外部にあるものを外的統制というのである。 流言とは、不確実な情報が、自然に人から人へと伝わっていく現象。 日常の言葉で言うと噂がひろがること。政治的な意図を持って故意 に流された情報をデマと呼び、流言とは区別される。流言で流される 情報は、個人のゴシップ(興味本位のうわさ話)から災害の予測まで 様々だが、流されていくうちに変容(平均化・強調化・同化など)を 生じるのである。 リッカート法とは、リッカート,R.により、社会的態度を量的に測定する 心理的尺度の構成法のこと。評定加算法とも言われている。その方法 は、態度対象についての評価的意味を内包する複数の短文を被験者に 呈示し、そのそれぞれについて、通常5段階の評定尺度により、積極的な 賛成から積極的な反対のいずれに当たるかを測定するもの。 ラベリングとは、言語化・言語命名、対象を同定・記述する為に名称 (ラベル)をつける行為のこと。ラベリングの認知に及ぼす効果は、 ラベリング効果と呼ばれている。ある人にラベルが与えられると、 その人物はラベルが暗示する特性を全て持ち、それ以上の何者でも ないとみなす傾向が他者・本人両者に現れるといったように、ラベリング はその名前に応じた行動を誘発するのである。 欲求の階層説とは、マズロー,A.H.が、人間の欲求を、低次から高次の順 で分類し、ピラミッド型の欲求の階層により示したもの。低次から、生理的欲求、 安全の欲求、帰属意識や愛情の欲求、尊敬されたいという欲求があり、最高次 には自己実現欲求がある。人間の欲求には、優先順位があり、このピラミッド型 の階層において下位の欲求が満たされると、一層上の欲求が生じると考えられて いるのである。 マインド・コントロールとは、依存心と集団への順応を助長し、自律と個性を 失わせること。元々人間の心理が持っている性質を利用し、これは自分で 選択したと思わせながら、特定の人物や組織の利益に寄与するように、 選択の方向を操作し、行動させるのである。「洗脳」とは異なり、あからさまな 物理的虐待を伴わず、巧みな説得的コミュニケーションや情報操作を用いる。 グループ内の強力な教え込み効果といった集団心理により作用する。 非言語的コミュニケーションとは、対人コミュニケーションのうち、言語記号 による意味を手がかりとする言語的コミュニケーションに対して、言語記号 以外の手がかりからなる過程のこと。身体部位を用いる身体動作を指して 身体言語とも言う。 PM理論とは、三隅二不二により提唱された、リーダーシップの類型化を 試みた理論のこと。集団機能に目標達成機能と集団維持機能の2つの 次元を想定。この概念を用いてリーダーシップ現象を説明し、4つのタイプ の管理者行動を類型した。リーダーがこれらの機能をどの程度果たして…

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一般心理学:知覚・認知心理学

REM睡眠 REM睡眠とは、睡眠段階のひとつで、急速眼球運動を伴い、夢を見て いる状態とされるもののこと。通常睡眠は、入眠段階・浅い眠りの段階・ 中等度睡眠段階・深睡眠段階のノンレム睡眠とREM睡眠とで、合わせて 90分の周期を4~5回繰り返すもの。REM睡眠では、脳波は覚醒パターン に似た低振幅の波形を描いており、自律神経系の活動が高まり、記憶の 体制化との関連が指摘されている。また選択的断眠実験によるREM睡眠の 剥奪では、注意力の低下・精神的な不安定が生じるなど、精神衛生上の 意義が指摘されているが、その機能については未知の部分が多いのである。 ラテラリティとは、一般的には、生物個体の左右対称的な器官の一方が、 他方よりも優れている現象で、特に左右の大脳半球の機能的非対称性を 表すものである。これは、スペリーらの分離脳の実験、脳損傷・両耳分離聴 の実験などを通じて明らかにされてきた。左半球は、言語的処理能力など 分析的・継持的・部分的認知に優れており、右半球は、空間認知・図形・ パターンの認知・メロディの認知・感情認知など総合的・同時的・全体的 認知に優れているのである。 目撃証言の信憑性とは、記憶の変容のひとつで、事故や犯罪の目撃者の 証言についての、信頼性の問題のことで、記憶の正確さと客観的な正確さ とが一致しないことが多いということ。要因としては、目撃時のストレス、 対象に対する関心、ステレオタイプ、事後情報効果、自我関与の程度など が挙げられる。ロフタス,E.F.らの実験では、記銘時における加工、 事後情報の記憶内容への取り込みによる記憶変容、再生時の記憶の 再構成などが指摘されている。 メディア・リテラシーとは、インターネットや電子メールといった電子メディアの 操作能力のこと。リテラシーは、識字・読み書き能力を表すものであるが、 情報化社会において、デジタル情報を操作することが必須となってきている。 これには単に情報機器の操作だけではなく、情報ネットワークの活用能力も 含まれ、ネチケット問題など、全般的なコミュニケーション能力が含まれている のである。 メタ理論とは、理論に対する理論で、個々の理論に対してメタ(上位の) レベルからその前提・モデル・アナロジーを問い返そうとする試みのこと。 60年代、科学論において、クーンの科学諸理論の共約不可能性、 ハンソンの観測(見ること)の理論負荷的性格(概念のゲシュタルト)、ペパー の世界仮説としてのルート・メタファ説などが提唱されており、心理学に おいても、実証主義に対する反省から理論心理学・認知心理学が 発展しているのである。 メタ認知とは、自己の認知過程に関する判断・知識・操作などを指すもので、 認知についての認知のことである。70年代のメタ記憶の研究に始まり、 認知発達の研究に大きな影響を与えている。自己の認知活動に対する モニタリングやコントロールの機能が問題とされる。教育臨床などにおいて、 学習不振児や発達遅滞児におけるメタ認知の欠如、教育の効果として 自己学習力、熟達化との関連が指摘される。 ホメオスタシスとは、生理学者キャノン,W.B.の提唱した概念のこと。 体温調節のように、生活体が環境の変化に対して諸器官を変化させる ことで、内部環境の動的平衡状態を維持しようとする自動的な機構や…

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一般心理学:発達心理学

エイジング エイジングとは、発達段階(老年期)においての用語で、加齢、老化と 訳される。初期には老人学として、高齢化に伴う身体・精神的衰退過程 を研究するものであった。50年代以降には、生涯発達心理学の視点から、 知能の新たな見直し、サクセスフル・エイジングとして、社会的な老人観の 変化が行われるようになっている。60年代には、現役からの引退を勧める 離脱理論が、70年代には、生涯現役という活動理論が提出され、その後 ライフサイクルにおける一貫性という連続性理論、生活の質から自己実現 の重視へと移行してきている。特に日本では、人口の7%が65歳以上の 老人人口の比率となる老齢化社会を70年代に迎え、ゴールドプランなど 福祉行政も整備が進んでいるのである。 中年の危機とは、発達段階(中年期)においての用語である。中年期は、 成人前期と後期の過渡期にあたる時期のこと。身体的変化、家族関係・ 職場関係における大きな変化を迎える時期で、病気・離婚・転職といった ライフイベントとなるものが起こり易く、生涯発達的に危機となる場合がある。 ユングは個性化プロセスをふたつに分け、40歳前後を人生の正午とし、 午前が成人としてのアイデンティティを確立していく時期であるのに対し、 午後は心の内なるプロセス・死・無意識を射程に入れた自己受容へと 焦点が移動していくことになるとしているのである。 モラトリアムとは、発達段階(青年期)においての用語のことであるが、 元来は債務の支払を猶予することを示す経済用語のことであった。 アイデンティティの確立までの社会的な責任や義務から猶予される 青年期の特質を表すのに、心理社会的モラトリアムという言葉を 用いた。古典的モラトリアムと現代的モラトリアムに分けられる。 前者は、半人前意識と自立への渇望、真剣な自己探求、局外者意識と 歴史・時間的展望、禁欲主義とフラストレーションに特徴があり、 後者は、万能感、性的解放、遊び感覚、局外者意識、自我分裂、 無意欲、しらけといった特徴を持っている。 心理的離乳とは、発達段階(青年期)においての用語で、ホリングワース, L.S.の提唱した概念である。青年期になり、それまでの両親への依存 から離脱し、一人前の人間としての自我を確立しようとする心の動きの こと。第2反抗期とも言われ、親との葛藤・親への反抗といった強い 分離不安を伴うもので、精神的に不安定になりやすい。甘えの雰囲気の 強い家庭では、様々な家族問題を引き起こしたりするが、同じ苦悩を 共有する友人との相互依存関係を通して、漸次的に克服されていくので ある。 思春期とは、発達段階(青年期)においての用語で、児童期から 青年期への移行が行われる11~13歳の青年前期で、成熟・発毛 する時期という意味を持ち、ことに第2次性徴が出現する時期のこと である。個人差が大きく、家族への感情・自己意識により大きく影響を 受ける。また大人へ近づくことの自信と羞恥心といった感情が、 ジェンダー意識に影響する。心理的にも、児童期の外向的・合理的・ 社会的傾向から、自己に目を向ける内向的・思索的・非社交的傾向が 始まり、心理的離乳や、第2次反抗期をもたらすのである。 自己意識とは、発達段階(青年期)においての用語で、これまで主として…

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一般心理学:理論

了解心理学 了解心理学とは、「生の哲学」の立場に立つ、ディルタイ,W.により 提唱された心理学。説明を手段とする自然科学的心理学に対抗して、 主体としての意味・体験の了解・解釈を手段とする精神科学的心理学 とも呼ばれたもの。全体との関連で心的行為に意味を見出そうとする もので、構造心理学とも呼ばれている。 ホーリズムとは、全体は部分の総和を越えるもので、個々の要素は全体としての 原理の下に包摂されると考える立場のことで、ケストラー,A.のホロン改革で 注目され、ニューサイエンスの中心原理となる。量子力学・有機システム論・ 生態学・トランスパーソナル心理学・東洋医学に代表されるように、総合的・ 円環的・個性的・共生的・相補的・自己組織化的なもの。 ポスト構造主義とは、1960年代から70年代後半にフランスで生まれた、 構造主義を批判的に継承・乗り越えようとする思想運動のことである。 構造自身の力動性に焦点を当てている。構造による主体の形成という 視点を保持しつつ、構造主義の実体主義的形而上学的思考・ ファロス中心主義を脱して、意味の生成過程、脱構築、リゾーム的・ ノマド的機械状無意識の作用を通して、これまで抑圧・隠蔽されて きたものを明らかにしようとする思想運動。 個性記述的とは、歴史学において、自然科学との同一性と差異性を めぐる議論の中から、19世紀末に新カント派のヴィンデルヴァント,W. が提唱したものである。歴史学を個性記述的であるとした。この考えは、 現在パラダイム論争となっている近代の知/臨床の知の対比と重なるもの。 法則定立的とは、歴史学において、自然科学との同一性と差異性を めぐる議論の中から、19世紀末に新カント派のヴィンデルヴァント,W. が提唱したものである。自然科学を法則定立的であるとした。この 考えは、現在パラダイム論争となっている近代の知/臨床の知の 対比と重なるものである。 プロセス指向心理学とは、1980年代に、ユング派の分析家ミンデル,A. により提唱されたボディ・ワーク、グループワークを重要視するトランス パーソナル心理学のひとつである。身体的働きかけは、フォーカシング に似て、フェルトセンスを求めるとともにより微細な感覚に開かれたもの である。コーマ・ワークにおいては昏睡状態にあるものに対する援助と なっている。集団的な取り組みは、家族からコミュニティへと広がり、 各地での紛争の解決、無意識のうちに権力関係として形成されている ランクへの働きかけなど、極めて実践的な心理学である。 クレアトゥーラとは、元来ユングがグノーシスから借用した言葉で、 ベイトソン,G.により新たに生態学的認識論の中に導入された概念。 物理的因果法則に従うとともに生命という固有のプロセスに従うもの である。このような概念は、ボームの暗在的秩序とも通じるもので、 認識の発生プロセスを明らかにしようとするもの。 プレローマとは、元来ユングがグノーシスから借用した言葉で、 ベイトソン,G.により新たに生態学的認識論の中に導入された概念。 無限にして不滅であり、また何らかの特性を持たず、あらゆるものに 浸透していくもの。対立するものを含みこんでウーヌス・ムンドゥス (一なる世界)を形成する、あらゆる原則性を含みこんだものである。…

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