一般心理学:社会心理学

目次

ローカス・オブ・コントロール

ローカス・オブ・コントロールとは、ロッター,J.B.が、60年代に社会的
学習理論の中で提唱した概念で、統制の所在と訳されている。ある
行動と報酬・罰という強化の関係において、ある原因帰属の一般化を
行うことにより、特徴づけられる認知様式あるいは性格特性を指す。
自分の行動をコントロールする所在が、能力や努力など個人の内部
にあるとするものを内的統制、運・課題の困難さ・強力な他者の行為
など外部にあるものを外的統制というのである。

流言

流言とは、不確実な情報が、自然に人から人へと伝わっていく現象。
日常の言葉で言うと噂がひろがること。政治的な意図を持って故意
に流された情報をデマと呼び、流言とは区別される。流言で流される
情報は、個人のゴシップ(興味本位のうわさ話)から災害の予測まで
様々だが、流されていくうちに変容(平均化・強調化・同化など)を
生じるのである。

リッカート法

リッカート法とは、リッカート,R.により、社会的態度を量的に測定する
心理的尺度の構成法のこと。評定加算法とも言われている。その方法
は、態度対象についての評価的意味を内包する複数の短文を被験者に
呈示し、そのそれぞれについて、通常5段階の評定尺度により、積極的な
賛成から積極的な反対のいずれに当たるかを測定するもの。

ラベリング

ラベリングとは、言語化・言語命名、対象を同定・記述する為に名称
(ラベル)をつける行為のこと。ラベリングの認知に及ぼす効果は、
ラベリング効果と呼ばれている。ある人にラベルが与えられると、
その人物はラベルが暗示する特性を全て持ち、それ以上の何者でも
ないとみなす傾向が他者・本人両者に現れるといったように、ラベリング
はその名前に応じた行動を誘発するのである。

欲求の階層説

欲求の階層説とは、マズロー,A.H.が、人間の欲求を、低次から高次の順
で分類し、ピラミッド型の欲求の階層により示したもの。低次から、生理的欲求、
安全の欲求、帰属意識や愛情の欲求、尊敬されたいという欲求があり、最高次
には自己実現欲求がある。人間の欲求には、優先順位があり、このピラミッド型
の階層において下位の欲求が満たされると、一層上の欲求が生じると考えられて
いるのである。

マインド・コントロール

マインド・コントロールとは、依存心と集団への順応を助長し、自律と個性を
失わせること。元々人間の心理が持っている性質を利用し、これは自分で
選択したと思わせながら、特定の人物や組織の利益に寄与するように、
選択の方向を操作し、行動させるのである。「洗脳」とは異なり、あからさまな
物理的虐待を伴わず、巧みな説得的コミュニケーションや情報操作を用いる。
グループ内の強力な教え込み効果といった集団心理により作用する。

非言語的コミュニケーション

非言語的コミュニケーションとは、対人コミュニケーションのうち、言語記号
による意味を手がかりとする言語的コミュニケーションに対して、言語記号
以外の手がかりからなる過程のこと。身体部位を用いる身体動作を指して
身体言語とも言う。

PM理論

PM理論とは、三隅二不二により提唱された、リーダーシップの類型化を
試みた理論のこと。集団機能に目標達成機能と集団維持機能の2つの
次元を想定。この概念を用いてリーダーシップ現象を説明し、4つのタイプ
の管理者行動を類型した。リーダーがこれらの機能をどの程度果たして
いるかを部下に評価させ、それに基づいてリーダーシップを類型に
分類する。この類型と集団効果との関係については、企業・官庁・学校
などで研究がなされており、部下の意欲・満足度や生産性との間に
関係が見出されているのである。

パーソナル・スペース

ソマー,Rによって、パーソナル・スペースは、個人をとりまく目で見る
ことができない持ち運び可能な境界領域で、この領域に他者が侵入
すると心的不快を生じさせる空間であると定義され、一般に普及
したのである。

認知的不協和理論

認知的不協和理論とは、認知的斉合性理論のひとつで、フェスティンガー,C
により提唱される。自己や自己をとりまく環境に関する意見・信念・行動など
を認知というが、認知的不協和理論では、その認知要素間に矛盾がある場合
を不協和状態と呼ぶ。そしてその不協和状態は、不快な緊張状態を生起
させるので、人は認知的不協和を低減させることでこの緊張状態を回避
しようとして、認知的要素の一方を変化させたり、新たな要素を加えたりする
のである。

認知的斉合性理論

認知的斉合性理論とは、ハイダー,F.が提唱、対人関係の原理となる
バランス理論(P-O-X理論)が代表的なもの。認知の体制化・再体制化に
当たって、認知の一貫性を求める傾向を前提とする理論のこと。思考に
おけるホメオスタシスのようなもので、認知や態度は、全体的な調和と
安定を維持するように相互に関係しあっているのである。斉合性の歪み
が、緊張を生じ、緊張は斉合性を回復するような内的圧力となり、
これにより個々の認知や態度が変更することになる。

外発的動機付け

外発的動機付けとは、生活体(人や動物)が欲求を生じ、その欲求を
満たそうとする方向に行動を起こす過程や機能を動機付けと言いい、
賞賛や報酬あるいは罰といった、生体外部のものに依存して生じる
動機づけのこと。生体は、動因や欲求による緊張の軽減を目指すと
主張したのである。

内発的動機付け

内発的動機付けとは、生活体(人や動物)が欲求を生じ、その欲求を
満たそうとする方向に行動を起こす過程や機能を動機付けと言いい、
興味や好奇心など、活動そのものに満足を感じるような動機づけのこと。
生体は、動因や欲求による緊張の軽減を目指すと主張したのである。

対人認知

対人認知とは、対人知覚とも言われるもので、他者の容貌・行動・うわさ
といった、断片的な目に見える手がかりに基づいて、その人の意図・
態度・あるいはパーソナリティといった目に見えない内面を、主観的に
推論する過程のこと。認知者は、その過程で、他者を自分と似たような
ものと知覚する傾向があると言われる。対人認知は、認知者の価値観・
過去経験・パーソナリティなどの影響を受けるとともに、社会的スキルを
含むコミュニケーション、社会的環境への適応において重要な役割を
果たすもの。

ソシオメトリー

ソシオメトリーとは、モレノ,J.L.により創始された、集団内の心理学的構造
を数学的に研究する方法のこと。感情的側面から集団構造を把握するという
ものなので、集団のフォーマルな構造というよりは、インフォーマルな構造に
焦点を当てたものと言えるのである。測定法は、行動観察・質問紙調査・
面接・ロールプレイングなど多岐にわたるが、対象となる集団の状況を規定
した上で被験者に「選択(親和)」と「排斥(反感)」を軸に回答させる、ソシオ
メトリック・テストが代表的。ソシオメトリーによって、下位集団間の関係や
スターや孤立児などの存在が明らかにされるもの。

ソーシャル・サポート

ソーシャル・サポートとは、物質的な援助でなく、ソーシャル・ネットワーク
といった人間関係によりもたらされる援助のこと。ソーシャル・サポートには、
情緒的支援・道具的支援・環境についての情報支援・自己評価に関する
情報提供などがあり、直接的に心理的ストレスを低減したり、間接的に
ストレスフルな状況に対する認知パターンに働きかけたりして、身体的健康
を促進する効果を持つもののことである。一般的な職場における組織内の
人間関係や、子育てにおける家族支援、バーンアウトの問題など、対人関係
が希薄化した現代社会における特有の問題ともいえるものである。

ノン・ゼロサム・ゲーム

ノン・ゼロサム・ゲームとは、ゲーム理論において、相手の出方によっては
全てのプレイヤーが利益を得たり、あるいは全員が不利益を被ったりして、
プレイヤーの得た利益の合計がゲームにより変動するもののこと。代表は、
囚人のジレンマであり、協力と競争の間で葛藤を引き起こすものである。

ゼロサム・ゲーム

ゲーム理論では、一方のプレイヤーの得がもう一方のプレイヤー
の不利益になるような、全てのプレイヤーの得る利益の合計が
一定であるゲームをゼロサム・ゲームというのである。

ステレオタイプ

ステレオタイプとは、ある集団や事象について抱かれている、極度に
単純化・画一化したことにより固定化した概念やイメージのこと。
この言葉は本来、18世紀末にフランスで発明された印刷方法、
または鉛版を意味していたが、リップマンにより、社会心理学・
社会学的概念として用いられるようになった。ステレオタイプは、
その単純化・画一化ゆえに、実際とは異なっていたり歪んで
いたりして、実物を性格に反映したものではなく、強い感情的
要素と結びつく事が多いのである。

スティグマ

スティグマとは、語源的にはギリシア語で肉体上の徴(しるし)を意味する。
「穢れたもの・避けられるべきものである」ということを、他者に知らせる
ことを目的として、奴隷・犯罪者等の身体上に押された烙印のことを指す。
個人が持っていて、それがその人の社会的受容に深刻な否定的影響を
与える、いわゆる汚点・欠点・ハンディキャップなどのこと。具体的には、
様々な肉体的・精神的障害・精神病歴・犯罪歴などがある。

心理的リアクタンス

心理的リアクタンスとは、人が自分の自由を外部から脅かされた時に
生じる、自由を回復しようとする動機的状態のこと。ブレーム,J.W.
により提唱された。説得者の意図した方向とは逆の方向に被説得者の
意見や態度が変わることを、ブーメラン効果と言うが、この現象の生起
メカニズムを説明するものとして、心理的リアクタンス理論は最も有力な
もの。つまり、高圧的な説得を受けると被説得者は自分の自由が迫害
されたと感じる。その結果、自由を取り戻そうとする行動として、説得
方向とは逆の方向に態度を変えるというものである。

親密さ

親密さとは、2者関係における、お互いに関連し依存しあう活動を含む、
内実を伴った関係のこと。自我発達にとって、親密さを持つことは、
いわゆる夫婦や恋人といった異性間の関係のみならず、同性間での
関係でも重要な問題である。エリクソン,E.H.は、ライフサイクル論
において、アイデンティティ確立のあとに、初期青年期の発達課題として
「親密性」対「孤立」を設定している。交流分析においても、自立の
為の基本的な能力となっており、「自分もOK、あなたもOK」という真の
交流から生まれる、人間関係の理想的な状態。

ジョハリの窓

ジョハリの窓は、ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが提唱した
概念で、二人の名前をとって名付けられた。人が関わり合って
共に成長していくプロセスを図解したものであり、自己ならびに
他者から見た自己の領域を表す概念のこと。自己について、
自分が知っている領域と知らない領域、他者が知っている領域
と知らない領域で、組合せにより4つの領域が得られるが、
自己開示やコミュニケーションの効果によって、未知の領域が
狭まっていくのである。

準拠集団

準拠集団とは、個人の意見・態度・価値判断の基準となる枠組を
準拠枠といい、この枠組を提供する集団のこと。ケリーによると、
肯定的あるいは否定的モデルを示す標準となる規範的準拠集団と、
個人の収入や学歴など自己の環境認知の為の比較的準拠集団に
分けられるのである。一般的には、家族や友人などの近隣集団や
所属集団が準拠集団になる。

周辺人

周辺人とは、レヴィン,K.の用語で、今まで所属していた社会集団
から新しい集団に移動する場合に、いずれの集団にも完全には所属
しておらず、部分的に以前の集団の成員性格を残し、他方新しい集団
の成員性格を持っているもののこと。青年は、大人と子供の世界との
中間に位置し、社会的に不安定な周辺人の性格を持つものであり、
混血児は、人種的に中間であるだけでなく文化的にも周辺人的性格を
持ち、スティグマを形成するときもある。

集団極性化

集団極性化とは、個々人の当初の判断や行動傾向・感情などが、
集団での様々なやりとりを通して集団過程の中で強まる傾向のこと。
集団決定においては、集団討議を経ることにより、リスキー・シフト、
コーシャス・シフトを引き起こす。これらは、最初の意思決定・判断が、
他者の意見を聴くことによる情報的影響や他者の存在により自己を
より良く見せようとする社会的比較の要因により、増幅されたものと
考えられている。

集団規範

集団規範とは、集団を目的達成に向かわせる枠組みとして、成員に
共通する判断の基準や思考様式が用意されなければならない為、
集団内において大多数の成員が共有する判断の枠組や思考様式の
こと。その生成過程は、集団の持つ同調性・凝集性をもとに成員間の
相互作用の中で生み出され、規範化されることで改めて集団の魅力・
集団圧力を高めることになり、集団の成長と重なるものである。また
個人的な意思決定においても、準拠集団として規範的機能が重視
されているのである。

社会的促進

社会的促進とは、オールポート,F.H.により提唱された概念。多数の
人が集団内で同様の作業を行うという状況下では、作業が促進され
作業量が増大するというもの。見物者や共同行動者の存在により
動機づけられるという、見物効果や共同作業の場合の共行動効果だけ
でなく、評価的な他者の存在・自己提示の動機などに左右されるもので
ある。他者の存在が負の効果を持つ場合は、社会的抑制と呼ばれ、
それには傍観者効果・社会的手抜きなどがあげられる。

社会的ジレンマ

社会的ジレンマとは、個人と集団、もしくは社会全体との利害葛藤の
構造のこと。つまり、個々人の合理的な選択や行動が、集団や社会
全体の観点から見ると望ましくない結果をもたらすという、大きな集団
で見られる相互依存関係。代表的なものに囚人のジレンマがあり、
相手の行動により最適な行動が左右されることになるのである。また、
共同作業では、人数が増えるに従ってひとり当たりの作業量が減少
する社会的手抜きの問題の指摘されている。

社会的学習

社会的学習は、「社会的行動の学習」と「社会の中での学習」のふたつ
を指す。「社会的行動の学習」とは、社会的習慣や社会的態度といった、
社会の中で見られる社会的性格を持つ行動が、学習されること。また、
「社会の中での学習」とは、社会の中での対人関係に基づいて学習
されるもの、すなわちある行動が他者の行動や態度を観察することに
より習得されるという学習方法や機制を強調したもののことである。

社会構成主義

社会構成主義とは、主に社会学・社会心理学の領域において、「我
コミュニケーションする、ゆえに我あり」を格率として、デカルト以来の
近代的な知の批判・反省として提唱されてきたもので、臨床心理学的
には、回想法・家族療法、ナラティブ・セラピーにつながるものである。
客観的かつ絶対的な物事の存在を前提とせず、差別・人権問題と
いった具体的な問題に答えようとしており、われわれが生きる現実は、
われわれの相互の交流を通して社会的に構成されるものである、と
する立場を採っているのである。

自尊心

自尊心とは、自己に対する評価、つまり自信の上位概念であり、
時間的に変化しにくい認知である。自尊心・自己評価とも言い、
例えば自分の価値や能力観を指すもの。肯定的に評価していれば
自尊感情が高く、否定的に評価していれば自尊感情が低い。一般に
人間は、自尊心を高く維持する、あるいは高揚するよう動機づけ
られているとされており、広範な人間行動を説明する様々な理論の
基礎となっているのである。また、極端に低い自尊心は、心理学的
障害の可能性を示唆するものとみなされ、特にうつ病に特徴的である。

自己効力感

自己効力感とは、バンデューラ,Aの提唱した概念。「ある課題を自分の
力で効果的に処理できるという信念」で、自信や自尊心のもとになるもの。
発生起源は、成功体験といった熟達の経験、代理学習による社会的
モデリング、暗示や勧告などの社会的説得、不安や恐怖の低減などの
生理的状態である。内発的動機づけを高めることがやる気の元になり、
その逆の効果は無気力を生じさせることになる。

自己開示

自己開示とは、「他者に対して、言語を介して伝達される自分自身に
関する情報及びその伝達行為」と定義付けされている。他者と親しく
情報や感情を共有しようとし、親密性を高める有効な方法となる。
また開示者の個人的な動機づけだけではなく、被開示者との関係の
中で開示の程度が決定される。すなわち親密性が高くなればなる程、
伝達される情報は、表面的ではない内面性の高いものとなるので
ある。

ジェンダー

ジェンダーとは、元々は文法用語での「性」(例えば、男性名詞等)の意味
を表すもので、そこから転じて、セックス(身体的性別)に対して、社会的・
文化的性別の意味に用いられている。いわゆる「男(女)らしさ」や「男(女)
の仕事」等の形で意識されるものから、無意識の内に社会規範として
規定されるような広域に及ぶものまで、後天的に身に付けていく性差の
総称のこと。その内容は、各人が所属する社会の持つ文化により異なり、
社会・文化的価値観や認識によって、人間のあり方や行動が、「男らしさ」、
「女らしさ」に区別・規定されるのである。

サーストン法

サーストン法とは、等現間隔法とも呼ばれるもので、サーストン,L.L.
による態度尺度構成法のことである。測定すべき態度次元に沿って、
その測定対象に対する意見項目がどの程度好意的であるか(あるいは
非好意的)ということを多くの評定者に評定させ、項目の尺度値を
決める。次に尺度値がほぼ等間隔に並ぶように意見項目を選び、
いわば目盛りのある尺度にする。これらの意見をランダムな順序で
被験者に提示し、それぞれの意見項目に対する賛否を求め、賛成を
得た意見の尺度値の中央値をもってその被験者の態度尺度値
とするのである。

向社会的行動

向社会的行動とは、反社会的行動・非社会的行動の反対で、他人を助ける
ことや他人に対して積極的な態度を示す行動のこと。向社会的行動の定義
は、「他者の身体的・心理的幸福を配慮し、ある程度の出費を覚悟して、
自由意志から他者に恩恵を与える為に行う行動」とされている。傍観者介入
や愛他行動についての議論でよく用いられている。行動類型として寄付・
奉仕、分与・共有、援助、労働援助、社会的弱者への援助、親切行動等を
挙げられる。

攻撃

攻撃とは、対象に対して、敵対的に物理的・精神的にダメージを与え
ようとする行動、及び攻撃的な意図・感情・期待・欲動などの動因の
こと。攻撃本能説では、縄張り争いなどのエソロジー研究、精神分析
における死の本能の概念など、生物にとって本源的な行動パターン
であるとされている。それに対し学習理論では、欲求不満の結果が
攻撃的行動を生み出すとするものや、観察学習によるとするものがあり、
後天的な側面に焦点を当てている。

帰属理論

帰属理論とは、出来事やある人の行動を、それが示唆する動機や
影響力の点から理解する過程やその原因を考えることを帰属と言い、
それについての研究知見を一括して帰属理論と言うのである。

感情

感情とは、視覚・聴覚などの感覚器官を通して得られた感覚刺激により
引き起こされる、比較的単純で持続的な心の状態のこと。対象の性質を
知る為の心的作用を、総称して認知というのに対し、その対象との関わり
合いにおいて経験される「私」の状態、ないしは性質に関する意識を、
総称して感情という。喜怒哀楽といった主観的意識過程。発達初期に
おいては、感情・情動は身体と外界との交流の現れであり、母子関係に
おけるコミュニケーションを成立させ人格の基礎を形成するものである。
臨床心理学的な場においても、感情論理の理解が主要なテーマと
なっているのである。

SD法

SD法とは、アメリカの心理学者オズグッド,C.E.が、内包的意味の
一種である情動的意味を定量的に測定する為、意味構造のモデルを
構成する為に開発した心理尺度法のこと。言葉・音・形・色・動き、
もしくはこれらの組合せをコンセプトと呼び、正反対の意味を持つ形容詞
で定義される複数の尺度(明るい―暗い)上で判定する。これらの項目
につき、どの程度当てはまるかを5段階や7段階で評定してもらい、
その平均値のプロフィールを比較したり、因子分析を行い共通根を
求めたりする方法である。

遊び

遊びとは、何らかの目的の為の手段的・道具的な仕事や勉強と
いった行動でなく、それ自身が楽しみであるような自立的行動
のこと。非効用的、非生産的行動である為、通常、「労働」の対極
に位置付けられるが、同時に遊びの持つ日常生活の規範から独立
した自由な創造性は、芸術をはじめとするあらゆる文化の根元を
なすものである。臨床心理学においては、遊戯療法として、遊び
そのものが治療効果を持つものとして利用されているのである。

This article was updated on September 8, 2022